日本には3校しか存在しない(詳細は以下参照ください)、モンテッソーリ教育の小学校のカリキュラムを知るために、本を読みつつまとめています。
【育児・モンテッソーリ】モンテッソーリ小学校について | にこぽこのみちしるべ (nicopoco.com)
日本語版は存在していないので、私なりに解釈して、理解を深めているので齟齬があればご指摘ください。
私自身の本書を読む上での目的はCosmic Education(宇宙教育)を理解するために読みました。
この本を理解する上で重要なモンテッソーリの言葉は
If the idea of the Universe be presented to the child in the right way, it will do more for him than just arouse his interest, for it will create in him admiration and wonder, a feeling loftier than any interest and more satisfying.
"宇宙が正しい手順で子どもに提示されれば、それは子どもの興味をそそるだけでなく、子どもに感嘆を生み出し、どんな興味よりも、どんな満足感よりも満ち足りたものになるでしょう。"
文科省の学習指導要領に従うのではなく、子どもの興味を最大限引き出すカリキュラムを組み込むことで、子どもの学習に対する姿勢はずっと続いていくのだろうなと感じた本ですが、読んでいて全てを要約できなかったので、本記事では3章までをまとめています。
第1章:Cosmic Education
Cosmic educationとは
まず、マリア・モンテッソーリがいうCosmic Educationというのは宇宙を学ぶということではない。歴史、生物学、そして関連する地理学、物理学、化学を通してCosmic Educationを学ぶ。
Cosmic Educationを理解するためには、(A) Cosmic Educationがどこからきたのか、(B) Cosmic Educationは何なのか、(C) それらを小学生に伝える意味は何なのか?を理解する必要がありそう。
(A) どこから来たのか?⇒第二次世界大戦中のインド(Kodaikanal)で、マリア・モンテッソーリとその息子マリオ・モンテッソーリによって、Kodaikanalの自然、子どもたちとの生活を通して生まれた。
(B)と(C)は以下の文章で答えていきます。
Cosmic Educationの目標は、(1)私は誰か?(2)私はどこからきたのか?(3)何故ここにいるのか(もしくは、どうしようとしているのか)を通じてidentity を確立することにある。
(1)の私は誰か?という質問を小学生にした場合、例えば、私は〇〇(名前)というものがあるかもしれないが、男の子、日本人、小学生、神奈川県在住・・といったような個人を紐づける言葉が100,1000とでてくる。
これらの質問に答えることは、自分が人類であること、世界に存在する個人であることを捉え、Identityを見つけていくためのファーストステップとなる。
(3)の質問に答えるためには、人生の目標、つまり、自分が世界の何に貢献しようとしているかを考えなければならない。
小学生にCosmic Educationをすることで、平和(戦争や惑星の破滅を避ける)教育をすることができるとしている。
Cosmic Taskとは
全ての種が持っているもの、地球の誕生や海ができたこと、生命ができあがったことは全てCosmic Taskによるもの。
マリア・モンテッソーリは海の誕生を例に、Cosmic Taskを説明しており、水のCosmic Taskはミネラルを溶解し、それを海に運んだことであるように、珊瑚のCosmic Taskはサンゴ礁をつくり、沢山の島を作り上げたことにある。
それでは、私のCosmic Taskは??これを個人ベース、人類というベースで考えることを意図してCosmic Educationは行われる。
小学生にCosmic educationは適切か?
マリア・モンテッソーリも自問自答した模様だが、医師として人を観察してきた結果として、6-12歳が適切であると信じて実施した。そして、Cosmic Educationの敏感期は小学校の期間だとした。Who Am Iを考えるための最適な期間であり、この期間にWho Am Iをよく考えた人は、大人になってから迷いはない。
以下のとおり、24歳までのStageを4つに分け、6-12歳が適切だと考えたのだろうと思われる。
- 0-6歳・・・周りの環境から無意識に意図せず色々な知識を吸収する。
- 6-12歳・・・社会に属し、想像の力が強くなり、世界に存在する意識(具体物)を超える(抽象化)
- 12-18歳・・・大人になるために、さらに深く追求をし将来を選択する。
- 18-24歳・・・成熟を迎える。
0-6歳が環境を吸収するのであれば、6-12歳は文化を獲得することが自然だろうと捉えた。
2nd plane(6-12)の特徴として、
1.社会経験のために広い世界が必要・・・家や学校にとどまってないで、外の世界に行きたい気持ちが高まる。(つまり、自分たちで”計画”して外に出る力を育むことが大事になる)
2.感覚や具体物から抽象物への変化を経験・・・具体物を通じて何?(What)のStageは経験し終えており、経験した全てのことや抽象物に対して何故?(Why)を考えられるようになる。
3.知性とモラルへの転換点を迎える。・・・多くの心理学者も6,7歳が善悪の判断がつき始める頃という考えを持っている。
第2章:Evolution and Cosmic Education
Cosmic Educationの根本はHistoryとEvolutionを学ぶこと。
この章は、人類は神から創られたとする宗教観を改めるために記載されているように感じた。宗教観を抜きにして、Evolutionを学ぶことの重要性、宗教観と進化という学問の両立を考えたマリア・モンテッソーリの先見の明について説明している。
関連して読むと理解が深まると思われた本
「The Universe Story」著者: Brian Swimme、初版発行日: 1992年、ジャンル: 科学
「To Educate the Human Potential」著者:マリア・モンテッソーリ
第3章:Cosmic Education and the cultural Curriculum
Cosmic Educationは小学校教育の基礎であり、進化は第一のテーマとなる。その中でCultural Curriculum(ここでは過去の文化を集めたもので、歴史、地理学、生物、自然科学などをベースとする)を学ぶことを通じて小学校のプログラムを検討する。
そして、通常の学校では、数学と言語は小学校教育の基本となるが、モンテッソーリ小学校ではCosmic Educationを学ぶツール(注釈1)となる。
注釈1:一方で数学と言語を学ぶためには、たくさんのお道具が存在し、それらの充実度はかなり高い。
いくつか存在するカリキュラムの考え方
モンテッソーリ小学校では①宇宙、②生命、③人類、④数、⑤言語の5つのプログラムが存在し、最初の3つによって、私たちの起源や過去について学ぶことができる。また、人類が進化の過程で生み出してきた残りの2つも説明を受けることとなる。
しかし、この5つのプログラムは、モンテッソーリによって提唱されたものではなく、「To Educate the Human Potential」を参照すると、重要なのは①地球と生命、②人類、③人間の進歩と文明とされている。(*本章にはCreation story(創造神話)についても記載されているが、キリスト教、ユダヤ教の方であれば理解できる内容だと思うが、小生、仏教のため、詳述を割きます。)
一方で、David Christianという方が言うには、8つに構成するべきであり、それらは①宇宙、②星、③化学元素、④惑星と地球、⑤地球上の生命、⑥人類、⑦農業、⑧近代革命という順となっている。この順番はこの本の表紙と一緒だなぁ、と感じました。
小学校向けカリキュラムの下準備(幼稚園期)
宇宙教育は、小学生向けに作られたカリキュラムではあるが、Primaryクラス(3-6歳)のうちに種をまいておく必要があり、Primary classの先生は以下の2つの書に精通しているとよい。
「I wonder what's out there」 著者:Joanne Alex
「Cosmic Wonder Series」著者: Aline Wolf
学びの順番
1st:Story⇒2nd:Study まず、鳥瞰してから、詳細を学ぶという流れがいい。
そして、モンテッソーリ教師の役割としては、知識を教え込むことではなく子どもの想像力や興味を刺激することにある。刺激を与えた後は、本人の興味に基づいて教室内外にあるリソースを使って自己学習が始まる。
間違えたアプローチをとると、1)子どもは学びに対して消極的になり、2)子どもの学習の機会を奪うことになる。
小学校は6年間あるのであり、1度に詰め込んだり、1年以内に学習を終わらせるなどのような制約がないことを覚えておかなければならない。
宇宙教育における歴史の教育
歴史の教育は必須である、過去を理解することは、現在を理解することにつながり、未来をどうプランして、自分のCosmic Taskをどうするかにつながっていくからである。
歴史学習で重要なことは、物語調で伝えるということと、それに時間軸をうまく組み込むということであるとモンテッソーリは語っている。
「Shadows of Forgotten Ancestors (English Edition)」著者:Carl Sagan
3章の関連リンク
1.Microsoftとカリフォルニア州立大学バークレー校が共同開発した138億年の歴史を振り返るツール(ChronoZoom)というものがあるので、参照したい。
拡大していくとそれぞれのイベントにハイライトされ、動画を見ることができる。
2.Jennifer Morganが自己超越とCosmic taskについて長文で解説をしておりました。
3.ビルゲイツ財団によるBig history projectは高校生向けに作られたものらしいですが、こちらも宇宙教育を学習する上で役立つでしょう。(ここでは137億年の歴史・・になってますね)
ここまで読んだメモ
ここまででだいぶ理解が進みます。4章以降は細かい内容になるので別途時間があるときに更新します。