書評

【書評】教育格差の経済学

所得格差によって結果の格差(所得や資産)と機会の格差(教育、就職、昇進)が生じているという社会の問題点を論じた本。最終的には教育格差を生まない対応が必要という感じで締めくくられている。

参考にして行動しようと思ったこと。

1.父親が読み聞かせをしている息子は学力が高いらしい。(p.32,33)

補足だが、P107に父親が育児に参加していると、母親の育児不安が取り除かれ、結果的に子どもにとっても良いようなことが書いてあった。

なるほど、と思ったこと。

1. 親の階層が子どもの教育水準に影響する理由は学歴下降回避説(親子ともに親の教育水準以下になることを避ける動機が働く)、名門度上昇希望仮説(名門校を親が出なかったことで、自分の子どもに親が受けたような不利益を与えたくない)があるから。(p35)

 

2.子どもの能力は何で決まるのか?

以下のとおり切り分けて考えるのが妥当とのこと。

①生まれつき、②本人の勉強に対する努力の程度、③学校における教育の効率性、④親の能力が遺伝する程度、⑤将来どのように進みたいかという意欲、⑥公立・私立校への進学や、塾や予備校の受講に影響する家庭の経済条件

Gottfredsonによれば、知能の定義は「推論する」「計画を立てる」「問題を解く」「抽象的に考える」「複雑な考えを理解する」「素早く学ぶ」「経験から学ぶ」のようなものが含まれ、これを検証するために作られたものがIQであった。

 

3.能力は遺伝の影響は思いのほか小さいが、、、

p84の遺伝と共有環境、非共有環境の影響割合を計算したものは見る価値があります。

これによると数学力、空間認識能力などは70%程度遺伝によるものだが、そのほかは大体が50%を下回っていました。学業成績は55%だそうです。

外部環境による影響が多いのであれば、教育には意味があるというものです。

なお、出展は「遺伝マインド-遺伝子が織り成す行動と文化」(安藤寿康)らしいのですが、検索をかけると、以下のようなブログが出てきました。興味深いのですが、わかりづらかったので、本を読んでみたいと思います。

www.blog.crn.or.jp

 

4.非認知能力の重要性

ここでいう非認知能力とは、指導力、計画性、創造性、向上心、忍耐力、自制心、協調性、適応力、意欲などの特性を指す。

 

5. 心理学でいう「ビッグファイブ」と「TCI(気質性格検査)」を遺伝の影響度の高い順に並べると

ビッグファイブ・・(高)誠実性≒開放性>神経症的傾向≒外向性>協調性(低)

TCI・・(高)新奇性追求>損害回避>報酬依存>固執≫自己超越>協調>自己志向(低)

 

6. 3歳児までの教育は大事だが、誰が行うという論点よりも、教育の行い方、いわゆる質が影響が大きい。

とはいえ、日本では母親が占める割合が大きく、食事、しつけなどの殆どを担っている。これは他国に比べても高い傾向にある。

 

7. 幼児教育の目的

①小学校教育にスムーズに入るための準備、人間としての好ましい性格形成、③一人で日常生活ができるための訓練と指導

①については、スムーズに教育された人が、所謂小1プロブレムを起こさない家庭なのだろうか・・・?

フレーベルについて知ることも大事そうである。

tobbyblog.com

 

8. P117.幼児期には・・。

思いっきり遊ばせ、遊びの時間を子どもとともに過ごし、子どもの趣味や好きなことに集中して取り組ませた方が、のちのち自分の力で人生を切り開く力がつく。

ここで筆者は共有型の教育をするべきであって、強制型を行ってはいけないと書いている。

ただ、私の気になるところとしては、例えば幼稚園受験、小学校受験をする子たちはどうだろう?人によっては強制されて教え込まれているのではないだろうか?

子どもが自主的に学びたいとしているのであれば、強制型ではない。という見解になるが、そもそも幼児の受験に対する意欲はどこから来るのか・・。

 

9. 幼稚園か保育園かという問題。

これは大問題、筆者の示している通り、管轄官庁が異なる点が問題、保育園は厚生労働省であるのに対して、幼稚園は文部科学省である。教育の質と費用対効果を考えるといい。

⇒保育園出身者の方が、幼稚園出身者よりも国立大学への進学率が高いというレポートが存在するが、これは、保育園が自立を促す組織である点、共働き家庭だから両親の教育水準も高い、などが挙げられる。

読んでいて不思議におもったこと。

1.日本人の親は子どもの幸せを望んではいるが、収入の高さ、地位の高さなどは望んでない。

⇒望んでいないという結果であったが、望んでいる人たちはいるものの、全体に対して少ないので、計算上反映されていない、という方が正しいかもしれない。

 

2. 通塾率の低い秋田県(22.1%)で全国学力テストの結果がトップであった。

東北、北陸では公教育の質がいいと記載されている、反対に大都会は質が良くないと書いてある。秋田では公教育でも1クラスに2人の先生が入る例もあるらしく、個別のフォローが充実しているのだろう、これは、私学の小学校でも行われている。

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